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JAWS DAYS 2026 招待セッション紹介 — Mashup For The Future の想いを込めて

15 min read

はじめに

JAWS DAYS 2026 実行委員長のせいけしろーです。

2026年3月7日(土)、池袋サンシャインシティにて JAWS DAYS 2026 が開催されます。 今年のテーマは 「Mashup For The Future」 。異なる技術、異なる業界、異なるコミュニティが混ざり合うことで、まだ見ぬ未来を一緒に創ろう――そんな想いを込めたテーマです。

全57セッション、キーノート、一般セッション、ワークショップ、LT、サポーターセッション等、どれも素晴らしい内容が出揃いました。

この記事では、実行委員会として招待したセッションを紹介していきます。 キーノート・Track A・Track Bの順に、JAWS DAYS 2026を特別なものにしてくれる登壇者の方々を紹介します。

タイムテーブルはこちら

Mashup For The Future

JAWS-UG(Japan AWS User Group)は2010年に設立され、全国60以上の支部を持つ日本最大のAWSユーザーコミュニティです。 JAWS DAYSは、その年に一度の最大イベントとして開催されてきました。

毎年のテーマには、その年のコミュニティが向き合うべきメッセージが込められています。 2024年は 「LEAP BEYOND」 ――壁を飛び越えろ。2025年は 「Connecting the dots」 ――点と点をつなげ。 そして2026年、私たちが選んだテーマが 「Mashup For The Future」 です。

Mashupとは、異なる要素を掛け合わせて新しい価値を生み出すこと。

生成AIと人の協働、技術と産業の融合、都市と地方の協調、そして様々なコミュニティの交流。 今年のJAWS DAYSでは、これらの「混ざり合い」が至るところで起きます。

優劣ではなく、違いを力に変える。 そういう想いを込めて、今年のテーマは「Mashup For The Future」になりました。

この後に紹介する招待セッションにも、その想いを込めました。 シリコンとクラウド、設計思想とAI、セキュリティとモダン開発、製造業と金融と小売――普段は出会わない組み合わせが待っています。ぜひ会場で体感してください。

委員長の結論:Track A / Track B はどちらも聴き逃せない

先に結論を言います。

Track AとTrack Bの13:20以降、全8セッションは自信を持ってオススメできる招待セッションです。

なぜそう言い切れるのか。それは、この2トラックの午後が 一つのストーリーとして繋がるように組まれている からです。

Track Aは「AWS × ○○」のMashupトラック です。 SRE、ソフトウェア設計、セキュリティ、AIエージェント――それぞれの専門領域のトップランナーが、AWSとの組み合わせで何が生まれるかを語ります。

Track Bは「未知の領域とのMashup」トラック です。 AWSのカスタムシリコン開発、データセンターの物理インフラ、エンタープライズ経営層のDX実践、そして設計のパラダイムシフト――普段僕たちが触れることのない世界ばかりです。 Track Bを組んだ理由はシンプルで、「知らないを知る」体験こそ一番おもしろいから。

午後の4枠×2トラック = 8セッション、すべて50分の濃密なセッションです。 どれか1つを選ぶのではなく、ぜひTrack AかTrack Bを通しで体験してみてください。どちらを選んでもストーリーとして繋がっています。

Keynote

Jeff Barr「[キーノート]生成AI主導の開発組織の構築」

生成AIを基盤とする開発ツールの登場により、ソフトウェア開発の実践は 今後5年間で過去50年間以上に匹敵する変革 を遂げようとしています。

構想からデリバリー、保守に至る開発プロセス全体をどう変革していくべきか。AWSチームが自ら実践して得た知見をもとに、具体的なガイダンスとヒントを届けてくれます。 コードを書く人から、AIが書いたコードをレビューし理解する人への転換――その実践知を、約50年のキャリアを持つビルダーが自らの言葉で届けてくれます。

20年以上にわたりAWS News Blogで新サービスを世界に伝え続けてきた、AWSの「声」そのものです。 2024年末にリードブロガーを卒業し、「ビルダーのルーツに戻る」と宣言。今はAIと人間が協働する開発の最前線に立っています。

JAWS DAYSには2018年から何度も登壇してくれていて、JAWS-UGを「世界で最も活発なAWSコミュニティ」と賞賛してくれています。 Jeffとは re:Invent やこれまでのJAWS DAYSで直接お会いしていますが、いつも気さくに対応してくれるんです。今年もお願いできて良かった。

約50年のキャリアの先に見えている景色を、直接聴ける機会です。ぜひ聴いてほしい。

Track A 招待セッション

山口能迪「生成AI時代の開発と運用」

SREとWell-Architectedという確立されたプラクティスに、生成AIをどう組み合わせるか。「ただ使う」のではなく、開発者・運用担当者・さらには他部署にまで価値をもたらす枠組みを見せてくれます。 概念論ではなく、具体的なツール・実装パターン を持ち帰れる内容です。

山口さんはAWS Senior Developer Advocate(Observability/SRE専門)。 Go Conference Tokyoの創設者で、オライリーの翻訳書を多数手がけているSRE・Observability領域の第一人者です。

Track A午後の幕開けにふさわしいセッション。 実は最初、山口さんにはオブザーバビリティのセッションをお願いしようとしていました。でも昨年12月の JAWS-UG Presents AI Builders Day の懇親会で直接話した時に、「オブザーバビリティからSREまでの経験値こそ、生成AI時代に必要なんですよ」と盛り上がって、このテーマが生まれました。

成瀬允宣「AWS×クラウドネイティブソフトウェア設計――依存を「選ぶ」イベントドリブンアーキテクチャ」

  • Track A | 50min | Level 300 | 14:20-15:10
  • 登壇者: nrs / 成瀬允宣(@nrslib)(「ドメイン駆動設計入門」著者)
  • セッション詳細

クラウドサービスに「依存するかどうか」ではなく 「どう依存するか」 。 DynamoDB Streams、Kinesis、MSK等のAWSサービスを具体的な構成例に、イベントドリブンアーキテクチャにおける依存関係の設計方法論を語ってくれます。 クラウドネイティブなソフトウェアの本質がわかる内容です。

成瀬さんは「ドメイン駆動設計入門」の著者で、実装から登る「ボトムアップDDD」 を提唱してDDDを日本に広めた方です。

成瀬さんとはPHPカンファレンスで普段からお世話になっています。DDDやCQRS+ESについてカンファレンスで話した時に、「AWSの文脈でこのテーマを語れるのは成瀬さんしかいない」と思ってお願いしました。

徳丸浩「クラウドネイティブ時代のウェブセキュリティ再考 ~AWS、コンテナ、CI/CDに潜む死角~」

  • Track A | 50min | Level 300 | 15:20-16:10
  • 登壇者: 徳丸浩(@ockeghem)(EGセキュアソリューションズ代表取締役 / IPA非常勤研究員)
  • セッション詳細

SSRFによるクラウド機能の悪用、サプライチェーン攻撃の実態、AWSセキュリティ機能の活用法、そしてエンジニアが持つべきメンタルモデル。 単なるベストプラクティス紹介ではなく、具体的な脅威シナリオとその対策 を体系的に学べるセッションです。

徳丸さんは通称「徳丸本」でおなじみ、Webセキュリティの第一人者です。 名前がそのまま資格試験(徳丸基礎試験)になっているほど、この分野では知らない人はいない存在です。

長年のWebセキュリティの知見が、クラウドネイティブ環境でどう活きるか。すべてのエンジニアに聴いてほしい内容です。 徳丸さんとはPHPカンファレンス等でご縁があり、セキュリティの第一人者にJAWS DAYSで話してもらいたいとずっと思っていました。Web会議で登壇をお願いした際、こちらの「クラウドネイティブ文脈でのセキュリティ」という意図を即座に汲み取ってくださり、このトークテーマを設定してくれました。

西見公宏 / 吉田真吾「初手AIで実現するAIと一緒に働くということ - AIファーストを実現する汎用タスクエージェントの作りかた」

生成AIプロジェクトの95%が成果を出せていない。じゃあ成功する5%は何が違うのか――ワークフロー自体を再構築しています。 「タスクゼロ」という技術的アプローチの解説と、Bedrock AgentCoreの実践的な活用方法。AIを道具として使うのではなく、AIと一緒に働く ための具体的方法論が聞けるセッションです。

吉田真吾さんは AWS Serverless Hero で、Serverless界隈では知らない人はいない存在。 西見公宏さんはGenerative Agents CEO、Software Design誌でLLMアプリケーション開発の連載を持っています。

Track A午後のトリを飾るセッション。 真吾さんにはServerless界隈でずっと憧れていました。ServerlessDaysで西見さんの話を聴いた時、「この二人なら生成AIと一緒に働くための話を、技術だけじゃなくエモく届けてくれる」と思ってお願いしました。

Track B 招待セッション

常世大史「クラウド × シリコンの Mashup - AWS チップ開発で広がる AI 基盤の選択肢」

  • Track B | 50min | Level 200 / Level 300 | 13:20-14:10
  • 登壇者: 常世大史(Annapurna Labs)
  • セッション詳細

普段僕たちが「インスタンスタイプを選ぶだけ」で済ませているその下で、AWSは独自のシリコンを設計し続けています。 Nitro → Graviton → Trainium → Inferentia。チップ開発の歴史をたどりながら、CPU/GPU/ASICそれぞれの役割と違いを学べます。

常世さんはAnnapurna Labs所属。Graviton、Trainium、Inferentiaを生み出しているAWSのカスタムシリコン開発チームです。 その中の人が日本のコミュニティイベントに直接登壇するのは本当にレア です。

これだけレアな機会、聴かない手はないです。 このセッションはAWS経由で実現しました。正直、登壇が決まった時はマジで興奮しました。

中台拓也「AWS データセンターの堅牢性 - 信頼性を支える技術と運用」

  • Track B | 50min | 14:20-15:10
  • 登壇者: 中台拓也(ADS Japan Data Center Facility Manager)
  • セッション詳細

クラウドの「99.99%」を支えているのは、ソフトウェアだけではありません。 このセッションでは、リージョンとAZの設計思想から、電気系統の自動フェイルオーバー制御(DLB・AMCOP・BACOP)、ラックレベルUPSの内製化、外気空調による省エネ、物理セキュリティの多層防御、GameDayによる実践訓練、さらにAIを活用した運用効率化まで、普段決して見ることのできないデータセンターの裏側を話してくれます。

中台さんはADS Japan(Amazon Data Services Japan)のData Center Facility Manager。 AWSが日本に大規模投資を続けている、その物理インフラを支える当事者です。

AWSの内部システム名が公のセッションで聞けること自体がなかなかないです。この機会を逃す手はありません。 このセッションもAWS経由で実現しました。常世さんのセッションに続いて、AWSの裏側の裏側が連続で聴ける。この流れで組めたのは本当に良かった。

長谷川秀樹 / 磯野仁 / 小野雄太郎 / 小山徹「業界Mashup! 製造・金融・小売のクラウド最前線」

  • Track B | 50min | Level 300 | 15:20-16:10
  • 登壇者: 長谷川 秀樹 / 磯野 仁 / 小野 雄太郎 / 小山 徹
  • セッション詳細

製造・金融・小売――業界が違えば課題も制約も異なります。 社内の推進体制をどう築いたか、ベンダーとどう向き合ったか、内製化へどう舵を切ったか、そして生成AIの台頭でクラウドの立ち位置がどう変わったか。それぞれの業界の最前線からの報告です。 技術選定ではなく、組織の規模と歴史を背負いながらどう乗り越えてきたか という経営レイヤーの議論。

この4名は「業界横断パネル」ではなく、日本のエンタープライズDXを自ら動かしてきた当事者チーム です。

  • 長谷川秀樹@sakuramaru55): 複数企業のCIOを兼任し、ASCII.jpで「IT業界のデストロイヤー」と呼ばれる方。AWS Samurai 2015
  • 磯野仁: パイオニア サービス事業本部長。E-JAWS(Enterprise JAWS-UG)会長として、エンタープライズCIOのコミュニティを主導
  • 小野雄太郎: クレディセゾン CIO兼CISO。金融業界でのクラウド移行を自ら推進
  • 小山徹: H2Oリテイリング(阪急阪神百貨店)グループCIO/CDO。小売業界のDXを牽引

製造・金融・小売という全く異なるDX経験が一堂に会する。自社の次の一手のヒントが見えてくるはずです。 このセッションはE-JAWSコミッティーの山崎さんを経由して実現しました。エンタープライズCIOの生の声がJAWS DAYSで聴ける、なかなかない機会です。

下川賢介 / 加藤潤一 / 中川佳希 / 矢部佑磨「変化に耐える設計、その定義が変わる ~レジリエンスから再生成へ。AI時代のシステム設計論~」

  • Track B | 50min | Level 300 | 16:20-17:10
  • 登壇者: 下川賢介(AWSジャパン) / 加藤潤一(IDEO;PLUS) / 中川佳希(LayerX) / 矢部佑磨(ZOZO)
  • セッション詳細

「10年後も堅牢に動き続ける設計」は本当に正解なのか――このセッションはその問いから始まります。 技術的負債と認知負荷の本質に向き合いながら、AIによって「いつでも再生成できること」が新たな価値になるという設計のパラダイムシフトを話してくれます。 マイクロサービスかモノリスかの手段論を超え、「耐える設計」から「再生成する設計」へ というマインドセットの転換を、4つの異なる視座から体感できるセッションです。

4名とも全く異なる組織から集まった混成チームです。

  • 下川賢介@_kensh): AWSジャパン サーバーレススペシャリストSA
  • 加藤潤一(かとじゅん / @j5ik2o): IDEO;PLUS。CQRS/ESの実践者で、複数企業の技術顧問を兼任
  • 中川佳希@yyoshiki41): LayerX バクラク事業部 執行役員CTO
  • 矢部佑磨@y_yabe_): ZOZO 基幹リプレイスブロック長。巨大レガシーシステムのリプレイスに取り組む現場の当事者

AWS(クラウド設計思想) × CQRS/ES(ソフトウェアアーキテクチャ) × SaaS CTO(モダン開発組織) × 巨大レガシーリプレイス(現実の戦場)。この4つの視座が揃うセッションは他にないと思います。 Track B午後のトリ、 10年後の生存戦略 がわかるセッションです。 この4人とは元々直接の知り合いだったわけではありません。でも「この人たちに話してほしい」という想いが強すぎて、いろんなルートを使って繋がりました。事前MTGで未来の設計の話を聞いた時、これはすごいセッションになると確信しました。

Track A / Track B 午後タイムテーブル

改めて、13:20以降のTrack AとTrack Bのラインナップを整理します。 この時間帯はどちらのTrackを選んでも最高です。

時間Track ATrack B
13:20-14:10山口能迪「生成AI時代の開発と運用」常世大史「クラウド × シリコンの Mashup」
14:20-15:10成瀬允宣「AWS×クラウドネイティブソフトウェア設計」中台拓也「AWS データセンターの堅牢性」
15:20-16:10徳丸浩「クラウドネイティブ時代のウェブセキュリティ再考」長谷川秀樹 他「業界Mashup!」
16:20-17:10西見/吉田「初手AIで実現するAIと一緒に働くということ」下川賢介 他「変化に耐える設計」

おわりに

ここまで招待セッションを紹介してきましたが、JAWS DAYS 2026の魅力はこれだけではありません。 一般公募から選ばれた45セッションにも、実践知と情熱が詰まった素晴らしい内容が揃っています。 ぜひタイムテーブルを眺めて、自分だけのベストな一日を組み立ててみてください。

どのセッションも、異なる世界の知見が詰まっています。きっと新しい発見がある一日になるはずです。

3月7日、池袋サンシャインシティでお会いしましょう!